株式会社Spelldata

働くために学ぶ

IT業界未経験者が輝くキャリアを築くための覚悟と継続的学習の重要性

2023年4月29日
著者: 竹洞 陽一郎

はじめに

近年、IT業界は急速に発展し続けており、多くの人々がその将来性に魅力を感じて応募しています。
ただし、IT業界で成功を収め、一人前の技術者として働き続けるためには、十分な学習時間とプライベートでの継続的な学習が欠かせません。
それでは、具体的にどれくらいの学習時間や実務経験が必要とされるのでしょうか?

情報系の大学での学習時間

IT技術者になるための最も適切な道は、大学の情報系の学部で学ぶことです。

アメリカの大学の場合

アメリカの大学におけるコンピュータサイエンス学科での入学から卒業までの学習時間は、学校やプログラムによって異なりますが、一般的な目安を示します。

通常、アメリカの大学の学士号プログラムは4年間(8学期)で構成されており、単位数(credit hours)が基準となっています。
ほとんどの大学では、コンピュータサイエンスの学士号を取得するために、120~130単位の履修が求められます。

1単位は通常、1学期における15週間の授業で、週に1時間の授業時間と2時間の自習時間が想定されています。
したがって、1単位あたり45時間(15週間×3時間)の学習時間が必要とされます。
これを120~130単位に適用すると、以下の通りになります。

この範囲内で、コンピュータサイエンス学科での入学から卒業までの学習時間の総計は、おおよそ5,400時間から5,850時間になります。
ただし、これはあくまで概算であり、個人の学習ペースやコースの選択、学校やプログラムによって実際の学習時間は異なることに注意してください。

日本の大学の場合

日本の大学の情報学部は通常4年間です。学習時間の総計を算出するには、さまざまな要素を考慮する必要があります。
一般的に、大学は「2学期制(セメスター制)」「3学期制(トリメスター制)」を採用しており、1学期は約15週間です。
しかし、最近は「4学期制(クォーター制)」を取り入れている大学も増えています。

日本の大学の場合は、1単位あたり30時間(15週間×2時間)の学習時間が必要とされます。
これを120~130単位に適用すると、以下の通りになります。

ただし、これはあくまで授業時間の総計であり、自主学習や課外活動、インターンシップ、卒業研究などを含んでいません。
これらの活動にも多くの時間を投資することが一般的です。したがって、入学から卒業までの学習時間の総計は、授業時間だけでなく、これらの活動に費やす時間も考慮に入れる必要があります。

日本では、1単位あたりの学修時間が30時間でしたが、「令和4年度大学設置基準等の改正」により、欧米と同等の45時間の学修時間が求められるようになりました。
これにより、1単位あたりの学修時間が30時間から45時間へと変わるため、アメリカの大学並みの学修時間になる見込みです。

2007年のデータではありますが、 文部科学省の調査結果によると、アメリカの大学生は授業以外で週あたりの学習時間は、6~10時間が26%、11~15時間が22.3%というデータがあります。
それに対して、日本の大学生は、週あたりの学習時間は1~5時間が57.1%を占めています。
大学での学修時間と、自己学習時間は、日本の学生とアメリカの学生では大きな差があることが分かります。

独学と実務でIT技術者になる場合

アメリカやヨーロッパでは、多くの場合、就職する職種に応じた大学の学部を卒業することが求められます。
しかし、日本では、どの学部を卒業したかは必ずしも重要視されず、企業に就職してからIT技術者教育を受ける人も少なくありません。

IT技術者として一人前になるための学習時間や実務時間は、個人の能力、目指す分野、既存の知識や経験などによって大きく異なります。
しかし、一般的な目安として以下のような時間が必要とされています。

学習時間
IT技術者になるためには、まず基礎的な知識やスキルを学ぶ必要があります。
これにはプログラミング言語やデータベースの基本操作、ネットワークの概念、アルゴリズムやデータ構造などが含まれます。
これらの知識を習得するためには、専門的なトレーニングやオンラインコース、書籍、チュートリアルを利用し、おおよそ300〜1,000時間程度の学習時間が必要とされています。
実務時間
実際のプロジェクトや業務に従事することで、理論的な知識を実践的なスキルに変換することができます。
一般的には、少なくとも1〜2年(約2,000〜4,000時間)の実務経験があることが、IT技術者として一人前とされる基準となっています。
特にプログラミング言語の場合、一通り習熟するためには、3,000時間を要すると言われています。
継続的な学習
IT業界は急速に進化しており、新しい技術やトレンドが常に登場しています。
そのため、一人前のIT技術者になるだけでなく、キャリアを維持・発展させるためにも、継続的な学習が必要です。

未経験からIT業界への挑戦は、相応の覚悟が必要

私自身は、情報学部出身ではなく、法学部出身です。
それでも、高校時代からコンピュータを扱い、コードを書いたりハックしたりする経験がありました。
全くの未経験からではなかったため、その点では有利でした。

とはいえ、プロとして働くには、知識量が足りませんでした。
私は「自己研鑽が大切だ」と教わり、プライベートの時間を学習に充てたり、積極的に残業して知識と経験を積んできました。
私のように極端に時間を投資する必要はないかもしれませんが、専門教育を受けていない未経験者がIT業界に入るなら、基礎学習の時間のギャップを埋める努力が大切です。

IT業界は変化が激しく、少し気を抜くだけで取り残されてしまいます。
継続的な学習(コミュニティの勉強会だけでなく、専門書を読むことも含め)を怠らず、技術者として働き続けることが求められます。

当社Spelldataでは、毎日午前中3時間を学習時間に充て、年間700時間以上を確保しています。
業務として給与を支払い、学習時間を割り当てることで、従業員にしっかり理解してもらいたいと期待しています。
それに対し、「考えていたのとは違った」と言って辞める方もいますが、その態度は残念です。

業務中の3時間の学習時間だけでは足りず、自分のプライベート時間にも1時間だけでも勉強することを推奨しています。
この1時間の投資が、技術者としての能力向上の「角度」を変えるのです。

例えば、35度の角度で進む場合と、36度の角度で進む場合の高さの違いを考えてみましょう。
距離が進むほど、35度の青い線と、36度の赤い線の高さの差が広がっていきます。

35度と36度の違い … 1度の角度の違いが生み出す差

この例からもわかるように、わずかな努力の差が大きな成果の違いにつながります。
未経験からIT業界に転職する場合は、専門的な知識やスキルを身に付けるために、継続的に学ぶ姿勢が非常に重要です。

IT業界は将来性がありますが、その分競争も激しいです。
未経験から一人前のIT技術者として働き続けるためには、日々の学習と努力が欠かせません。
業界に興味を持つ方は、その覚悟を持って挑戦していただきたいと思います。

まとめ

IT業界で技術者として働くためには、大量の学習時間や実務経験が必要であることがお分かりいただけたでしょう。

未経験からIT業界への転職を希望する方は、十分な覚悟をもって取り組むことが重要です。
会社が学習時間に対して給与を支払うということは、従業員にしっかりと理解し、スキルを習得することが期待されているからです。
そのため、理解できていない場合は評価が低くなることもあることを肝に銘じておいてください。
学習進捗が芳しくないと、試用期間で雇用契約を終了する場合もあります。

さらに、プライベートの時間でも、たとえ1時間でも学習に励むことが、IT業界で成功するための分かれ道となります。