株式会社Spelldata

生産性

給与額を左右する労働生産性

2023年5月20日
著者: 竹洞 陽一郎

はじめに

皆さんの中には、自分の給与について心配される方がいるかもしれません。
特に近年、円安やウクライナ侵攻に伴うエネルギー価格の上昇など、様々なインフレ要因が存在します。
また、年齢を重ねるごとに、住宅ローンの支払いや子供の教育費など、生活費が増える傾向にあります。

年収は多くの要素が組み合わさって決まりますが、その中でも最も大きな影響を持つのが「労働生産性」です。
業界によって平均的な年収は異なりますが、その背後には労働生産性の差が存在しています。
では、この労働生産性とは何なのでしょうか?

労働生産性とは

労働生産性とは、特定の時間枠内に労働者一人当たりが生み出す生産出力を示す指標です。
これは、ある時間内に生産される商品やサービスの量、すなわち価値を表すものです。
労働生産性は、経済の効率性や競争力を評価するための重要な尺度であり、企業や経済全体の成果を理解する上で頻繁に利用されます。

労働生産性を計算する一般的な方法は、一定期間(通常は1時間または1年)あたりのGDP(国内総生産)またはGVA(付加価値)を労働者数または労働時間で割ることです。
この結果、時間当たりの生産出力としての労働生産性が得られます。

労働生産性は、技術進歩、教育水準、スキルセット、労働環境、働き方の改革、投資状況、組織の運営方針といった多くの要素に影響を受けます。
そのため、労働生産性を向上させるための戦略はこれらの要素全てを視野に入れる必要があります。
また、生産性は産業間でも大きく異なるため、各産業の特性や状況に応じた対策が必要となります。

労働生産性の向上は、個々の労働者の賃金上昇、企業の利益増加、そして国全体の経済成長に寄与します。
そのため、労働生産性は労働者、企業、そして政策立案者にとって重要な焦点となります。

業界による労働生産性の違い

労働生産性は、業界によって大きく異なります。
それは各業界が固有の技術、スキルレベル、業務プロセスを持つためです。
以下では、いくつかの主要な業界における労働生産性について概説します。

ただし、以下で説明する情報は大まかな傾向を示すもので、具体的な数値は時期や地域、特定の状況により変動します。

製造業
製造業は、一般的に労働生産性が高い業界として認知されています。
これは、自動化やロボット技術の導入により、少ない労働力で大量生産が可能となっているからです。
生産ラインの効率化も労働生産性の向上に寄与しています。
情報技術(IT)業界
IT業界もまた、高い労働生産性を持つ業界として知られています。
最新のテクノロジーを駆使して製品やサービスを提供するため、一人当たりの生産出力が極めて高いという特性があります。
農業
農業の生産性は、地域や採用する技術によって大きく異なります。
先進国では、農業機械の使用や最新の農業生産管理技術により、相対的に高い労働生産性を実現しています。
一方で、手作業が主体の地域や途上国では、労働生産性は低めです。
サービス業
サービス業の生産性は、業種やサービスの種類により大きく異なります。
一部のサービス業では、自動化やデジタル化によって生産性を向上させることが可能ですが、人間の直接的な関与が必要なサービスでは、生産性を高めることが困難な場合が多いです。
公共部門
公共部門(教育、医療、行政サービスなど)は、その特性上、生産性を評価することが難しいことがあります。
これらのサービスは社会的な価値を提供するものであり、その成果を数量や金額で計測するのは難しいからです。

要約すると、労働生産性を高めるためには、最新のテクノロジーの活用、自動化の推進、高度な専門知識の適用などが不可欠となります。

自身の労働生産性の計算方法

出力の明確化
労働生産性を計算するための第一歩は、「出力」の定義を明確にすることです。
これはあなたの仕事の性質によるため、売上高、完了したプロジェクトの数、販売された製品の数、解決された顧客の問題の数など、あなたの業務に直接関連するキーパフォーマンス指標を選択してください。
計測期間の設定
次に、生産性を計測するための期間を設定します。
これは通常、1週間、1ヶ月、あるいは1年などの定期的な時間枠になるでしょう。
労働時間の追跡
設定した期間における労働時間の総計を求めます。
メールの確認、ミーティング、具体的な作業時間など、全ての業務活動に要した時間をカウントすることが重要です。
生産性の算出
最後に、設定期間内で達成した出力をその期間の労働時間で割ります。
例えば、1週間で40時間労働し、その間に5つのタスクを完了させた場合、あなたの生産性は5タスク÷40時間 = 0.125タスク/時間となります。

この計算方法は簡易的なもので、実際の労働生産性は多くの要素に影響を受けますが、一定の期間における自身の生産性を把握するための基本的な方法となります。

Spelldataにおける労働生産性向上の取り組み

日本の労働生産性を高め、その結果として従業員の年収向上を目指すためには、具体的な施策が求められます。 Spelldataでは、以下の取り組みを実施し、生産性の向上を目指しています。

教育と継続的な学習の推奨
生産性を高めるためには、最新のスキルと知識を習得することが重要です。
Spelldataでは、従業員が自己のスキルを逐次更新できるよう、一日のうち3時間を自己学習の時間と設けています。
テクノロジーの最大限活用
テクノロジーは労働生産性を著しく向上させる可能性を秘めています。
AIや自動化技術の活用により、作業時間を短縮し、より高度な業務に集中することが可能となります。Spelldataでは、常に最新のテクノロジーを取り入れ、生産性向上につなげています。
働き方改革の推進
長時間労働は、一人あたりの生産性低下を招く可能性があります。
働く時間そのものを減らし、代わりにその時間の質を向上させることが重要となります。
Spelldataでは、月1時間未満の残業を目指すなど、労働時間の効率化を推奨しています。
経営陣の積極的な役割
高い生産性を目指す企業文化を醸成し、働きやすい環境を提供するのは経営陣の重要な役割です。
生産性を重視する文化は、事業の成功と従業員の満足度向上を両立させるため、経営陣だけでなく全ての従業員が追求すべき目標となります。

このように、Spelldataでは各種施策を通じて、労働生産性の向上と従業員の満足度向上を両立することを目指しています。

年収1000万円を目指す場合、求められる労働生産性とは?

労働生産性を理解し改善する一つの方法として、それを「売上への貢献度」として見ることがあります。

年収1000万円を目指す場合、どれほどの労働生産性が求められるでしょうか?
アメリカのIT企業を例にとると、営業職の場合、自身の売上目標は約1億円に設定されることが多いです。
一方、技術職の場合でも、売上への貢献として6000万円から8000万円程度が期待されます。

したがって、自身が目指す年収の約10倍の売上を生み出すことができれば、希望する年収を要求する根拠が生まれます。
これらの視点を持つことで、自身の労働生産性を客観的に評価し、具体的な目標を設定する助けとなります。

まとめ

本記事では、労働生産性の意義、その測定法、そしてそれが各人の年収にどのような影響を及ぼすかについて詳述しました。
企業として労働生産性を引き上げるためには、持続的な教育の提供、最新技術の利用、働き方改革の推進、そして生産性向上を志向する組織風土の創出が極めて重要です。
個々の年収目標を達成するためには、希望する年収のおおよそ10倍の売上貢献を目指すことで、適切な生産性の目標を設定することが可能となります。

全般的に見て、労働生産性は産業、企業、そして個々の労働者にとって大切な指標であり、その向上は職場での充実感、賃金の上昇、そして企業の競争力強化に寄与します。
Spelldataでは、労働生産性を高める戦略を見つけ、それを実践することで、良好な職場環境と経済の両方を共に創造する文化を築いています。