株式会社Spelldata

仕事のための計画

「頑張ります」を止めてみよう

2023年6月3日
著者: 竹洞 陽一郎

はじめに

私たちはよく「頑張ります」と言いますが、この言葉がタスクの達成を難しくする可能性があることをご存じでしょうか。
Spelldataでは、「頑張ります」という発言は禁止です。
その理由と、具体的なTo Doリスト作成の重要性について考えてみましょう。

「頑張ります」という表現の問題点

「頑張ります」は、何かを成し遂げないといけない場合に、自分の意気込みを表現するために使われることが多いです。
しかし、この言葉には具体的なアクションやステップが含まれていません。
具体的に何をどうするのかが明確でないと、タスクの進め方が曖昧になり、結果的にタスクの達成を困難にします。

「頑張ります」という表現は、自身の意欲や前向きな姿勢を示すのに便利ですが、その表現が思考の終わりとなる傾向があります。
「頑張ります」と宣言した瞬間に、その発言だけで満足してしまい思考が止まるのです。
人によっては、深く考えることを無意識に避けるために「頑張ります」という発言が出てしまうがあります。

To Doリストの作成が重要な理由

では、「頑張ります」という抽象的な宣言による思考停止を避けるためには、どうすればよいでしょうか。
その答えは、タスクを具体的なアクションに分割し、それをTo Doリストにすることです。

一般的に、「強く意識すれば、人は変わる」と認識されていますが、実際は意識するだけでは変わることは稀です。
本当に変化を起こすためには、行動と習慣化が必要です。
つまり、何かを達成したいと思ったときは、その達成のための具体的な行動を考え、その行動を繰り返して習慣化することが重要となります。

たとえば、「健康的な生活を送りたい」と思ったとき、具体的な行動として次のようなことが考えられます。

行動と習慣化は、自分の行動パターンや思考パターンを変化させる強力なツールとなります。
新しい習慣を作り出すことで、自分の行動や思考を形成する新たなフレームワークを提供することができます。
これは、自己変革のための有効な方法といえるでしょう。

効果的なTo Doリスト作成のコツ

1. 明確さ
タスクは具体的で明確な形で記述することが重要です。
例えば、「資料を読む」というタスクはあいまいすぎますが、「3時までにマーケティング戦略の資料を読む」というタスクは具体的で、達成可能な目標を設定しています。
「何をどうする」を明確にしましょう。
これにより、何をどうすればいいのかがはっきりと理解できます。
2. 定量化
タスクの量を測定するためには、定量化が重要です。
数字を使って具体的に何をどうするかを定めることで、仕事の量を評価できます。
「3時までにマーケティング戦略の資料の10ページを読む」などと定めて、タスクをこなすことで自分がどれくらいの仕事量をこなせるかが分かります。
3. 優先順位
すべてのタスクが同じ重要度を持つわけではありません。
優先順位を付けて、最も重要なものから処理することを考えてみてください。
この際、アイゼンハワーのマトリクスなどのツールを使って、緊急性と重要性に基づいてタスクを分類するのが有効です。
4. 達成可能性
To Doリストに記述するタスクは、一日で達成可能なものに限定しましょう。
大きなプロジェクトは、小さなタスクに分割することで管理しやすくなります。
このために、「1-3-5」リストメソッドを考慮すると良いでしょう。
これは、一日の主要なタスク1つ、中程度のタスク3つ、そして小さなタスク5つを識別する方法です。
5. タイムブロッキング
タイムブロッキングは、数分で終わるタスクと数時間かかるタスクを区別するのに役立ちます。
この方法は、管理可能な時間枠に個々のタスクを割り当てることを含みます。
そのため、一日の全てのタスクをこなすために十分な時間があることを確認することができます。
6. 柔軟性
To-Doリストは、元気さや状況の変化に対応できるようにすべきです。
元気な日と、調子が悪い日のための2つのリストを作成することを検討してみてください。
どちらのリストも「もし/それなら」のモデルに従うことができます。
例えば、「もし私が元気なら、健康のために散歩に行く」などとします。
元気がない日のために、「もし私が元気がないなら、健康のために体操をする」という具合に、それほど要求の厳しくないタスクを用意しておきます。
7. 視覚的な支援
タスクの図式化や視覚的な支援を使用することを検討してみてください。
これはタスクの記憶を助け、事前にタスクを考えることを強制します。
また、進行状況を視覚化し、タスクを整理するためにカンバンボードも有用なツールとなり得ます。
8. プレッシャーフリーなアプローチ
厳格な理想のTo-Doリストを作成するのではなく、「できること」リストを作成することを検討してみてください。
この方法はプレッシャーを軽減し、オプショナルなタスクの重要性を考えることを可能にします。
すべてを完了できなかったとしても、それが世界の終わりを意味するわけではありません。
アイゼンハワー・マトリクス

新しい習慣を形成するための「21日の法則」

特に、新しい行動によって習慣化する時、特にそれが既存の行動を改善するためのものである場合、私たちはしばしば「自分らしくない」と感じたり、やめてしまったりすることがあります。
結果として、その行動は定着せず、最終的には改善しないままになりがちです。
この問題を克服するために役立つのが、「21日の法則」です。

「21日の法則」とは、新しい行動を21日間連続で行うと、その行動が習慣化するという理論です。
この理論は1960年代に形成外科医のマクスウェル・マルツ博士により提唱されました。
彼は、患者が手術後に新たな体の部位(例えば、義足や義手)に慣れるのに約21日かかることを観察しました。
そして、この期間が人間の行動や感情のパターンが形成される一般的な期間であると結論付けました。

ただし、「21日の法則」は一概に適用できる訳ではありません。
その理由は、人によって新しい習慣を形成する速度は異なるからです。
一部の人々にとっては、新しい習慣を形成するのに21日以上かかる場合もあれば、他の人々にとっては、それより短い時間で新しい行動を習慣化することが可能です。

それでも、「21日の法則」は新しい習慣を形成するのに役立つツールであることが確認されています。
それはこの法則が、目標設定に一定の期間を提供し、その期間中に新しい行動を続けることで自己コミットメントを強化するための枠組みを提供するからです。

新しい行動を始めるとき、「自分らしくない」と感じることがあるかもしれません。
しかし、その違和感は新しい行動を繰り返し続けることで徐々に薄れ、やがてその行動が習慣となり、「自分らしい」と感じるようになります。

つまり、新しい行動を始める際には、まず21日間その行動を続けるという目標を設定し、その期間中にその行動を繰り返し続けることが求められます。
これにより、新しい行動が習慣化され、「自分らしい」と感じるようになるのです。

他人との約束を重視する性質を活用して習慣化を促進する

「21日の法則」を活用して習慣化を試みる際、自分で決めた目標をすぐに放棄してしまうことがあります。
人間は自己設定の目標に対するコミットメントを簡単に失ってしまう傾向があります。

しかし、人間は他人との約束に対しては自分自身との約束よりも強いコミットメントを持つという特性があります。
これは他人への責任感や社会的な期待に基づいています。
この性質をうまく活用することで、自己の行動改善を促進することが可能となります。

そのための一つの手法として、バディシステムがあります。
この場合、信頼できる人を「バディ」に設定し、21日間の目標を共有し、その進捗を見守ってもらいます。
これにより、他人が自身の行動を観察していることによる責任感を引き出し、目標達成への動機付けを高めることが可能となります。

バディシステムを利用する際に重要なのは、信頼できるバディを選ぶことです。
バディはあなたの目標を理解し、それに対して支持的な人物であることが求められます。
このようなバディと共に目標を追い求めることで、自己の目標達成へのコミットメントを一層強固にします。

さらに、バディシステムは相互的な関係性を重視するべきです。
あなたがバディの目標を理解し、その進捗を支持することもまた重要です。
これにより、双方が互いの目標達成を助け合うことができ、モチベーションを維持しやすくなります。

したがって、21日の法則を利用して新しい習慣を形成する際には、信頼できるバディを見つけ、お互いの目標を支え合うことを考慮してみてください。
このようなアプローチは、あなた自身の目標達成へのコミットメントを強化し、新しい行動の習慣化を助ける強力なツールとなるでしょう。

スケジューリング:実行への道のり

最後に挙げるポイントは、To Doリストに書いたタスクを実行するためのスケジューリングです。
スケジューリングされないタスクは、実行されにくいものです。
多くの人々が、タスクに具体的な実行時間を割り当てないため、「時間がなかった」という理由でその実行を見送ってしまいます。

もしバディを持つなら、スケジュールした時間にタスクを開始する際、バディにメッセージを送ることを考慮しましょう。
そのメッセージは、行動の開始と終了を示すものであると良いでしょう。

自分がバディとの約束を順守し、To Doリストに記載されたタスクを予定通りに実行するという行為は、バディにも影響を与えます。
バディも自分自身のTo Doリストを時間通りに達成しなければならないという「他人との約束を守る」という本能が活性化します。
これは互いにとって良好な循環を生み出します。

まとめ

Spelldataでは、「頑張ります」という発言は避けるように指導しています。
その理由は、「頑張ります」と言うことで、何をすべきかが具体的には示されず、抽象的な言葉によって思考が停滞してしまうからです。
「頑張ります」と言うことは、自身や周囲を「前向きな態度だ」と納得させることができますが、実際には何も進展しないのです。

「頑張ります」という表現を避け、代わりに具体的なTo Doリストを作り、それを実行する習慣を育てることで、各タスクは具体的かつ達成可能な目標になります。
それにより、「頑張る」のではなく、一つずつのタスクを冷静に達成することが可能となり、仕事の進行に伴う精神的な負担を軽減し、全体的な生産性を向上させることができます。

また、タスクを具体的なアクションに分解することは、優先順位を決定する際にも有用です。
明確なアクションを設定することで、各タスクの重要性と緊急性がより明確になり、あなたの時間とエネルギーを最も重要なタスクに集中できるようになります。

「頑張る」から「行動する」への変化は、タスク管理と生産性において非常に重要なステップです。
タスクを具体的なアクションに分解することで、タスクの達成がより実現可能で直感的になり、全体的な生産性が向上します。
その結果、あなたの仕事と人生は前進し続けることができます。