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面接

入試と就職・転職の違い

2024年2月18日
著者: 竹洞 陽一郎

はじめに

多くの人が人生で一度は、高校入試や大学入試を経験しています。
さらに、幼稚園、小学校、中学校の入試を経験した人もいるかもしれません。
試験を受けて学校に入学することと、面接や試験を通じて会社に入社すること、これらのプロセスは表面的に似ているように見えますが、根本的な違いがあります。

学校では、あなたが授業料を支払う側です。
一方、会社では、あなたに賃金を支払う側になります。

入試では、あなた自身が「購入者」として位置づけられ、限られた「生徒・学生枠」を獲得するための競争に参加します。
一方、就職や転職活動では、あなたは「提供者」として自己をアピールし、自分の労働力を提供することで報酬を得るポジションを獲得する必要があります。
このように、入試と就職・転職活動は、参加する立場と目的が異なります。

入社・転職では「自分」という商品を売り込む営業マンになる

入社や転職活動においては、自分自身を一つの「商品」と捉え、それを市場に売り込む営業マンの役割を果たす必要があります。
このプロセスには、自己分析、企業研究、プレゼンテーション、交渉といった多岐にわたるスキルが求められます。

自己分析
自己分析により、自分の強み、弱み、スキルセット、価値観を明確に理解することが重要です。
これは、自分という商品の特徴を理解し、どのような職場や業界に最適かを見極めるための基盤となります。
企業研究
企業研究を通じて、求められているスキルや経験、業界のトレンド、企業文化などの情報を収集します。
これは、自分がどのように企業にフィットするか、また企業が自分のキャリア目標や価値観に合致するかを判断するために不可欠です。
資料の準備
そして、履歴書や職務経歴書、面接を通じて、自分という商品の魅力を効果的にアピールすることが求められます。
これらのツールを使って、自分の経験やスキル、成果を具体的に示し、なぜ自分がその職位や企業に適しているのかを説得力を持って伝える必要があります。
ネゴシエーション
最後に、面接や条件交渉の過程では、相手とのコミュニケーションスキルや交渉術が試されます。
ここで大切なのは、自信を持って自分を売り込むことと、同時に相手のニーズや懸念を理解し、それに応える形で自分の価値を提示することです。

上記のように、就職・転職活動で必要とされる活動は、仕事を進める上でのスキルそのものです。
つまり、成功するためには、自分の能力とポテンシャルを適切にマーケティングし、市場のニーズに合わせて自己をプレゼンテーションする能力が不可欠です。
この一連のプロセスを通じて、あなたは自身のキャリアを形成し、理想の仕事を見つけるための重要なステップを踏んでいるのです。

段取り八分に仕事二分 - 事前準備の重要性

「段取り八分に仕事二分」という言葉は、成功への道のりにおいて事前準備が80%を占め、実際の実行が20%であることを意味しています。
このことわざは、仕事の成果は準備の質に大きく依存することを示しています。
しかし、実際には、充分な下準備を行う人はそれほど多くありません。

多くの人が行き当たりばったりの仕事をする事が多いのではないでしょうか?
予定された手順やマニュアルが存在していても、それに従って行動できる人は少ないです。
現代社会では情報が氾濫し、スマートフォンやSNSを通じて短い情報に触れることが多くなり、長文の文書やマニュアルを最初から最後まで集中して読むことが難しくなっています。

また、現代の仕事環境では、定形業務は徐々に自動化の波に飲まれ、人の手による作業は新しい課題や未確立のプロセスを扱うことが多くなっています。
新しい仕事に取り組む際には、何をすべきかをまずリストアップし、それに基づいて実行手順を考え、計画を練るプロセスが求められますが、このようなスキルは訓練を重ねなければ習得が難しいものです。

就職や転職は、ほとんどの人が人生の中で経験するものであり、成功するためのノウハウや方法論は書籍やWebで容易に入手できます。
やり方は調べればいくらでも知ることができるのですから、企業は、応募者がどれだけ準備をしているかをこの段階で評価しています。

商品やサービスを売り込む営業マンが、商談で自社のことを全く調べずに無計画な提案をするような状況を見て、「これでは売れない」と感じたことはありませんか?
就職や転職の場面で、同じように十分な準備をせず、応募する企業の情報を十分に収集しなかったり、提出書類が不十分であったり、自分がどのように貢献できるかが的外れであれば、その応募者は「残念な営業マン」と同じ印象を与えてしまいます。

このため、就職や転職活動においては、充実した事前準備が非常に重要です。
準備を怠ることは、自らの可能性を狭め、成功のチャンスを逃すことに直結します。
段取りをしっかりと行い、計画的に取り組むことが、目指すキャリアへの扉を開く鍵となります。

面接は「入学相談会」ではない

最近、公立・私立を問わず、多くの学校が学校説明会や入学相談会を開催しています。
これらの会では、生徒や保護者が学校の雰囲気を感じ取ったり、自分の学力で入学できるかどうかを相談する場となっています。

しかし、就職や転職の面接をこれらの学校の説明会や相談会と同じように捉えてしまうと、誤解を招くことがあります。
「私でも、この仕事ができるでしょうか?」といった質問を面接でしてしまうと、プロフェッショナルさに欠ける印象を与えます。

社会人として、自分の人生に関する重要な決断は自分自身で行うべきです。
応募する仕事が自分に適しているか、そしてそれをこなせるかどうかの判断も、自分で下す必要があります。
万が一、入社後に仕事をこなせなかった場合、その責任を企業に転嫁することはできません。

社会で働くことは、自立と自己責任を伴います。
面接では、自分がその職場でどのように貢献できるかを示すことが重要であり、自分の能力や適性を正確に把握し、それを伝えることが求められます。
そのため、面接は自分をアピールする場であり、能力や適性を問うもので、学校の入学相談会とは全く異なる性質のものです。

もしも、ある仕事のポジションに応募したいが、できるかどうか不安がある場合は、キャリアコンサルタントに相談する方がいいでしょう。
例えば、東京都の場合、東京仕事センターのキャリアカウンセリングのサービスを利用することが可能です。

就職・転職活動は営業と同じくフォローアップが重要

就職や転職活動において、面接や書類選考を終えた後のフォローアップは、多くの応募者が見落としがちな重要なステップです。
実際には、営業活動におけるフォローアップと同様に、このプロセスは応募者が企業に対して継続的な関心を持っていることを示し、印象を強化する絶好の機会となります。


件名: 今日は面接の機会をありがとうございました

[採用担当者の名前] 様、

今日は、御社の[ポジション名]の応募について面接の機会をいただき、ありがとうございました。

面接を通じて、御社のチームの一員としてどのように貢献できるかについて、深く理解することができました。
特に、[面接で話題に出た具体的なプロジェクトや話題]に触れられたことは、私の[具体的なスキルや経験]が御社でどのように活かせるかを想像する助けになりました。

御社が直面している[課題やプロジェクト]に関する洞察を得られたことで、これらの課題への私の貢献方法について、より深く考察する機会を持てました。
私は、[該当するスキルや経験]を用いて、御社の目指す成功への道のりに貢献できます。

選考の次の段階に関して追加で情報が必要であるか、私から提供すべき他の資料がある場合には、遠慮なくご連絡ください。
このポジションへの私の熱意は非常に強く、御社の一員になることを心から楽しみにしています。

次のステップについて、ご連絡を楽しみにしています。

--
[あなたのフルネーム]
[あなたの連絡先情報]

(メールの署名箇所の区切り文字がRFC1849--+半角スペース+改行と定義されているのを知っていると、「お、知ってるな」と評価が上がるかもしれません。)

面接後に簡単な感謝のメールを送ることは、その企業への真剣な興味を示すだけでなく、自分がどれだけその職に情熱を持っているかを再確認する良い方法です。
このメールは、面接中に話したトピックを軽く触れることで、自分の記憶を面接官の中に新鮮に保つのに役立ちます。
実際のところ、フォローアップメールを面接後にすぐに送ってくる応募者は10人中1人いるかどうかも怪しいのです。

また、フォローアップは問題点や誤解を解消する機会でもあります。
面接中に十分に伝えられなかった点や、さらに強調したい能力があれば、このタイミングで補足情報を提供することができます。
こうした積極的な姿勢は、他の応募者との差別化を図ることができるだけでなく、あなたのコミュニケーション能力や解決志向の姿勢をアピールすることもできます。

さらに、フォローアップは進捗確認の手段としても機能します。
選考状況や次のステップについて尋ねることで、プロセスの進行状況を把握し、自分の準備を整えることが可能になります。
ただし、これは繊細なバランスが求められ、過度な連絡は避け、適切なタイミングとマナーを守ることが重要です。

できる営業が、商談後に素早くフォローアップメールを出すように、皆さんも、面接後に素早くフォローアップメールを出してみてはどうでしょうか?
企業の採用担当者から、会社に入っても同じようにお客様に対応してくれると期待を持ってもらえますし、あなたの評価アップに繋がります。
これは営業に限らず、人間関係をベースとして進む仕事においての基本的なスキルなのです。

まとめ

就職や転職活動を「自分を売り込む営業プロセス」と表現すると、「私は営業は向いていない」と反感を抱く人もいるかもしれません。
しかし、事前調査、資料の作成、プレゼンテーション、交渉、そしてフォローアップの実行という一連のプロセスは、営業職に限らず、あらゆる職種で必要とされる普遍的なスキルセットです。
これらの能力が不足していると、職場での成功は難しいでしょう。

実際に、企業の採用担当者は、応募者が話す内容よりも、その行動や振る舞いをより重視しています。
なぜなら、それによって応募者の実際の仕事への取り組み方や能力が明らかになるからです。

したがって、就職や転職活動は、行動を通して自己を効果的にアピールし、職場での貢献を前もって示すための重要な機会となります。
これらのステップを通じて、あなたは採用担当者に、自身のポテンシャルと自身の仕事の進め方をアピールすることができるのです。