適職を探すのではなく、自分が何になりたいかを考えよう
自分の人生の生き方を考える
2024年2月23日
著者: 竹洞 陽一郎
はじめに
人生を歩んでいく中で、「夢」や「やりたいこと」を見つけ出せる人は幸せです。
見つけた夢に向かって一歩ずつ前進していけばいいのです。
しかし、中には成人になるまで自分の夢を見つけられずにいる人も少なくありません。
また、夢を持っていても「自分には叶えることができない」と思い込み、それを追求することを諦めてしまうこともあります。
そうなると、自分の真の欲求を見ないようにするため、本当に望むものが何かがわからなくなってしまうのです。
その結果、「自分に何が合っているのか?」と適職探しの旅に出る人も少なくありません。
適職探しの果てしなき旅路
適職を求める旅は、能力が高いほど終わりを見出しにくいものです。
多才であるがゆえに、様々な分野で人並み以上の成果を出してしまうからです。
私たちはしばしば、自分が仕事に適しているかを「他人と比べてどれだけ優れているか」で測りがちです。
スポーツの世界では、他の選手と比較して優れた成績を収められるかが重要視されますし、プロフェッショナルの領域ではこれがさらに顕著になります。
しかし、プロスポーツのように限定されたポジションがあるわけではない一般社会の職業では、はるかに多くの機会が存在します。
もし仕事能力の分布が正規分布に従うと想定するとすれば、適切な教育や訓練を受けた80%の人々は、その仕事を適切にこなすことができるでしょう。
自分が能力の低い方に位置していると感じたら、諦めるのも一つの選択肢かもしれません。
しかし、人は成長することができます。
現在は不得手な分野でも、努力によってその状況を変える可能性があります。
「自分に合っているかどうか」という基準は、非常に曖昧で、多くの変数に影響されます。
そのため、これを基準にした職業選びにおいてはリスクが伴います。
脳の可塑性によって、時間をかければ特定の分野で能力を伸ばすことが可能であることも知られています。
したがって、「才能があるかないか」も、職業選びの基準とするには適切ではありません。
「自分に合っているかどうか」を中心に仕事を探すと、私の経験からも言えますが、「キャリアプランのサルガッソー海域」(※)に迷い込み、そこから脱出するのが難しくなります。
※サルガッソー海域は、多くの船が沈んだり行方不明になったりすると言われる「魔の海」、すなわち「船の墓場」として知られています。
実際には「適職」よりも「自分に合った職場」を求めている
多くの人が転職を決意する際、「仕事内容は合っていたけれど、上司が合わない」「会社の文化に馴染めなかった」「同僚との関係がうまくいかなかった」といった職場環境の問題を理由に挙げます。
しかし、転職の面接ではこのような理由を直接言いにくいため、「仕事が合わなかった」と表現してしまうことがあります。
このような言い方をすると、自分自身の認識もその言葉に影響されてしまうことがあります。
また、問題が仕事そのものではなく、その仕事の「遂行方法」や「仕組み」にあることも少なくありません。
「もっと効率的に、または顧客にとって有益な方法で仕事ができる」と考え、提案しても受け入れられないと、モチベーションが大きく下がります。
つまり、多くの場合、私たちは適職を探していると思っていても、実際には職務内容よりも職場の環境や仕組みに合致するかが重要なのです。
このことに気づくと、仕事探しのアプローチが大きく変わります。
私の経験では、ある会社に転職した後、仕事がほとんどなく、毎日座って時間を過ごすだけで非常に不満でした。
その経験を通じて、「自分は実際に手を動かし、積極的に働くことを望んでいる」ということに気づきました。
若い頃は、収入を最優先に仕事を選んでいましたが、高収入ではあっても、あまりやることがない仕事に就いた時、自分が本当に望んでいたのはそういうことではないと気づきました。
その後は、「どのような人生を送りたいか、積極的に働く人生を送りたい」という自分の真の願いに目覚めました。
どんな人生を送りたいのか
Spelldataの面接では、「どんな人生を送りたいですか?」「何になりたいですか?」といった質問をしばしば投げかけます。これらの質問は、応募者の価値観を理解し、私たちの価値観との一致を探るためです。
Spelldataは完全在宅勤務を採用しており、多くの方がその点に魅力を感じて応募されます。
しかし、在宅勤務であっても、仕事への姿勢や理念が当社と合致しなければ、後に問題が生じる可能性があります。
Spelldataでは、勤務時間中はみっちりと学習や業務に励むことが求められます。
そのため、「在宅勤務=自由な働き方」と考えている方には、当社の環境が合わないかもしれません。
Spelldataの創設は、私自身が理想とする人生を実現したいという想いから始まりました。
- 性格が良く、プロフェッショナルな仕事をする人たちと共に働きたい
- 品質にこだわり、高品質な仕事を提供したい
- 仕事の効率を高め、お客様への貢献度を上げたい
では、あなたが完全在宅勤務を望む理由は何ですか?
- 仕事はしていても、17時以降は子供の世話をしたい
- 故郷での生活を望んでいる
- シングルマザーとして自立し、仕事と家庭を両立させたい
これらの希望は、完全在宅勤務によって実現可能です。
Spelldataでは基本的に残業はなく、忙しい時期でも残業は日に1時間未満です。
通勤時間がないため、もしも残業が必要でも、保育園や学童へのお迎えの後に可能です。
目指すべき自己の姿
次のステップは、「自分が何になりたいのか」という自己実現への問いかけです。
多くの人が、現在のスキルセットに満足せず、さらなる向上を望んでいますが、スキルの向上は決して簡単な旅ではありません。
学ぶことも、働くことも、体力と精神力を要します。
体力が足りないと、仕事や学習へのモチベーションが持続しないことがあります。
理解が迅速に進まないのは、学習の一環です。
最初の1年間は、自分が何を理解していないのかも把握できないことが多いです。
そして2年目には、理解できていないことが明確になりますが、その自覚が挫折感へと繋がることもあります。
知識の欠如を痛感することは、時に精神的な打撃となり得ます。
しかし、学習の壁は、技術や専門知識の習得だけに限られるものではありません。
「プラトー効果」という専門用語で知られるこの現象は、新しいスキルを身につけ、それを習熟する過程で多くの人が経験します。
長期にわたる習い事や部活動でプラトー効果を経験した人は、この時期を乗り越えると大きな成長が期待できると理解しています。
そうした経験がある人は、プラトー期間を耐え抜くことが成長のカギと知っています。
しかし、そのような経験がないと、自分には向いていないと感じてしまいがちで、その挑戦を途中で諦めてしまうことがあります。
プラトーを乗り越える能力は、適職を見極める問題を超えた、より基本的な力です。
この局面を克服できなければ、多くの人がスキルアップを途中で断念してしまいます。
精神的なタフさがないと、学習や仕事の過程で、適応障害に陥るリスクもあります。
ITの技術を学ぶことの難しさは認識されていますが、それに先立って、日本語の文章能力に苦労する人も少なくありません。
従って、「スキルアップしたい」という願望を実現するためには、それ相応の覚悟と努力が必須であることを理解し、覚悟することが重要です。
まとめ
適職を求める前に、まず自分が望む生き方や、成し遂げたい自己実現について深く考えてみることが大切です。
あなたは、どのような人々と、どのような業務に携わりたいのでしょうか?
学びの過程での困難や、仕事の厳しさに直面しても、それらを克服してでも実現したいと願う理想はありますか?
ほとんどの人は、様々な仕事に適応し、そこで能力を伸ばすことができます。
もし優秀なら、その適応力も高いはずです。そうなると、適職を追い求める旅は、果てしなく続くかもしれません。
しかし、仕事にせよ人生にせよ、目指すべき理想の姿を明確にし、その実現に向けて逆算して行動計画を立てることで、成功へと導かれることがよくあります。
その成功の鍵を握るのは、諦めずにやりきる力です。
プラトー効果を乗り越えましょう。