地方に眠るポテンシャルを開花させる ― 山口県岩国市からの拠点展開と教育戦略
2025年11月21日
著者: 竹洞 陽一郎
はじめに
Spelldataは、フルリモートワークを活用して業務を行っています。
この働き方に魅力を感じ、地方から応募される方が多くいらっしゃいます。
地方からの応募者の多くは、未経験者が殆どです。
地方採用の解禁と物理的な課題への挑戦
これまでSpelldataでは、未経験者の採用については、主に関東近県に限定して受け付けていました。
IT業界においてパフォーマンスチューニングや、メールセキュリティ、ネットワークセキュリティという高度で複雑な業務内容を扱っていますが、Spelldataには確立された教育カリキュラムがあり、教育自体はリモートでも十分可能です。
しかし、最大の懸念点は「機材トラブル時の物理的なサポート」でした。
万が一、PCが故障した場合、現地での修理や交換が必要になりますが、オフィスから遠く離れた場所では即座に対応する事が困難です。
この「物理的な距離によるサポートの限界」が、地方採用を躊躇する要因となっていました。
ですが、地方には「ポテンシャルが極めて高いにも関わらず、環境によってキャリアを制限されている女性」が数多くいる事が分かり、この課題を解決してでも採用を進める方針へと転換しました。
山口県岩国市への進出と拠点開設
この新しい方針を具現化する第一歩として、2025年10月、山口県岩国市からの企業誘致のお話を頂き、現地視察を行いました。
そして、2026年に岩国市に新たなオフィスを開設する事を決定致しました。
この拠点は、単なるサテライトオフィスではありません。
周辺地域に住む未経験の従業員を雇い入れ、機材トラブル等の物理的な問題を解決する為の「サポート拠点」としての機能を持ちます。
また、普段は自宅でリモートワークをしている従業員が集まり、顔を合わせてコミュニケーションを取る事が出来る「ハブ(拠点)」としても活用します。
「場所」の制約を超えてキャリアを作る
これまでネックとなっていた「機材トラブル時の対応」も、地域の拠点がある事で解決出来ます。
岩国市での展開をモデルケースとし、今後、他の地方自治体から企業誘致のお話を頂いた際にも、同様に拠点を設け、その地域で雇用を生み出して行く計画です。
Spelldataは、地方に眠る優秀な人材が、生まれ育った場所で、世界レベルの技術を身に付けられる環境を作って行きます。
リモートワークの可能性と業務習熟度の関係
拠点が整備された事で、安心して業務に取り組める環境は整いました。
しかし、業務習熟度が高い従業員ほど、オフィスから離れた場所でも効率的に働く事が出来るという事実に変わりはありません。
これは、彼らが業務に関する知識やスキルを十分に習得している為、自分で問題を解決したり、適切な判断を下す事が出来るからです。
一方、業務習熟度が低い従業員にとっては、オフィスでの直接的なコミュニケーションや指導が重要です。
彼らはまだ業務に慣れていない為、リーダーや先輩からのサポートが必要となる事が多く、オフィスから離れる事でそのサポートが得られなくなる可能性があります。
岩国オフィスのような拠点は、機材サポートだけでなく、こうした「習熟度が低い期間」のメンタリングを支える場としても機能します。
業務習熟度に応じた働き方の提案
リモートワークの導入を検討する際には、業務習熟度に応じた働き方を提案する事が重要です。
具体的には、以下のようなアプローチが考えられます。
- 習熟度が高い従業員
- 完全リモートワークやフレックスタイム制度を導入し、自由な働き方を選択出来るようにする。
これにより、彼らは自分にとって最適な環境で効率的に業務をこなす事が出来ます。 - 習熟度が中程度の従業員
- ハイブリッド型リモートワークを導入し、オフィスと自宅を適切に使い分ける事で、業務習熟度の向上と効率的な働き方を実現する。
オフィスでの勤務日には、チームとのコミュニケーションや情報共有、メンタリングを重視し、リモートワーク日には集中力が求められるタスクに取り組む等、働き方を工夫する。 - 習熟度が低い従業員
- オフィス(岩国拠点など)での勤務を中心とした働き方を提案し、リーダーや先輩からの指導やサポートを受け易い環境を整える。
徐々に業務に慣れてきたら、少しずつリモートワークを取り入れる事で、自己管理能力やコミュニケーションスキルを向上させて行く。
業務習熟度とリモートワークが可能なオフィスからの距離の関係性を理解し、それぞれの従業員に適切な働き方を提案する事で、企業は生産性向上や従業員満足度の向上に繋がるでしょう。
今後もリモートワークが広がる中で、業務習熟度に応じた働き方の提案が重要なキーポイントとなります。
まとめ
Spelldataは、岩国市への進出を皮切りに、地方に眠る優秀な人材の発掘と育成に本気で取り組みます。
しかし、IT業界で技術者として働く為には、大量の学習時間や実務経験が必要である事に変わりはありません。
未経験からIT業界への転職を希望する方は、十分な覚悟をもって取り組む事が重要です。
会社が学習時間に対して給与を支払うという事は、従業員にしっかりと理解し、スキルを習得する事が期待されているからです。
その為、理解出来ていない場合は評価が低くなる事もある事を肝に銘じておいてください。
学習進捗が芳しくないと、試用期間で雇用契約を終了する場合もあります。
物理的な距離の課題は会社が解決しました。
あとは、貴方自身の「学ぶ意欲」と「プロフェッショナルとしての覚悟」次第です。