「御社で勉強させてください」は、意図と違って伝わります


著者: 竹洞 陽一郎

「御社で勉強させてください」
「御社での学びを求めて応募しました」

志望動機でよく見る書き方です。
学ぶ意欲を示したいという気持ちから出てくる表現だと思います。

ただ、この書き方は、書いた本人の意図とは違う形で読まれます。
何がどう伝わるのか、そしてどう直せばよいのかを説明します。

表現の問題であって、姿勢の問題ではありません

先に断っておきます。
「勉強させてください」と書く人が受け身だ、と言いたいのではありません。

これは日本語の謙譲表現として定着しています。
実際にきわめて能動的に動く人が、へりくだってこの言い方を選ぶ場面はよくあります。

問題は、読み手にそこまで伝わらないことです。
この一文だけを取り出すと、「会社が用意したものを受け取る側」に自分を置いた文として読まれます。
書いた側の意図がどうであれ、そう読まれてしまいます。

つまり、直すべきなのは姿勢ではなく表現です。
そして表現を直そうとすると、結果として考え方の整理が必要になります。

分かれ目は「制度を使うかどうか」ではありません

よくある誤解を先に潰しておきます。
「会社の制度をあてにするな」という話ではありません。

Spelldataには業務時間内に毎日3時間の学習時間があります。
使ってもらうために用意している制度なので、使わない人の方が困ります。

分かれ目はここです。

制度を使った先に何を返すのかを、自分で決めているかどうか。

誰かが決めた到達点まで運んでもらうつもりなのか。
自分で決めた到達点に、制度を道具として使って行くつもりなのか。
この2つは、書かれた文章にはっきり出ます。

言い換えの例

変えるべきなのは丁寧さではありません。
到達点を誰が決めているかです。
その観点で読み比べてください。

到達点を相手に委ねている書き方到達点を自分で決めている書き方
御社の高度な技術環境で、最新のスキルを勉強させていただきたいです。 独学で学んだ○○を、御社の計測環境で実際のデータに当てて検証したいと考えています。
研修制度が充実している御社で、一から育てていただきたいです。 3か月で△△の業務を一人で回せる状態を目標にしています。学習時間は□□の習得に充てるつもりです。
幅広い業務に挑戦して成長したいです。 まず○○を担当し、1年で△△まで範囲を広げたいと考えています。

2行目に注目してください。
右側も「学習時間を使う」と書いています。
制度を使うと書くこと自体は、まったく問題ありません。
違うのは、3か月後にどうなっているつもりなのかを自分で決めている点です。

なお、書けない場合は無理に埋めないでください。
具体的な到達点が書けないのは、業務内容がまだ分かっていないということです。
その場合は、募集要項と求める人物像を読み直してから書いた方が早いです。

Spelldataでは、この視点を質問票で見ています

ここは正直に書いておきます。

Spelldataの選考は、書類選考、質問票、EQ検査、適性検査、学力検査、Zoom面接の6段階です。
このうちZoom面接は、採用を前提とした契約条件のすり合わせの場です。
面接での話し方や志望動機の言い回しで合否が変わる場面は、ほとんどありません。

面接官の主観に依存した採用をやめて、検査による客観的な評価に移したのは、そのためです。

ですからこの記事は、選考を通過するための言い回しの指南ではありません。
表現を整えても、EQ検査も適性検査も学力検査も動きません。

この考え方が実際に効くのは、書類選考と質問票です。
そこで問うているのは文章のうまさではなく、自分で到達点を決められるかどうかです。
Spelldataは「自由と責任」を掲げていて、何をどう進めるかを各自が決めます。
決められない人には、そもそも仕事が渡せません。

学ぶことを否定しているのではありません

IT業界は技術が更新され続けるので、継続的な学習は前提条件です。
だからこそSpelldataは、業務時間内に毎日3時間の学習時間を確保しています。
2019年に始めて、現在も続いている制度です。

この制度は、教えてもらうのを待つ人のためのものではありません。
自分で課題を見つけ、必要な知識を取りに行く人を支えるためのものです。

制度という道具を渡されたときに、それで何を作るのかを自分で決められる方をお待ちしています。

まとめ