将来のためにメリットを計算

配偶者控除から外れるメリット


著者: 竹洞 陽一郎

配偶者控除の範囲で収入を得て、所得税が課税されないようにしたい、社会保険は払わないようにしたい、という女性は多いです。
ネット上には「配偶者控除のメリット」や「損しない調整方法」に関する情報は溢れていますが、扶養内に留まる事の「見えないリスク」や、あえて外れる事の「長期的なメリット」について深く掘り下げた情報は、まだ多くありません。

人生、何があるか分からないものです。
何かにしがみついたり、頼るほどに、それが失われた時に、取り返しのつかないダメージを受ける事になります。

夫に頼りきってしまうと、夫が一人で家庭を支える「大黒柱」となり、思わぬ事態が生じたときに脆弱な「弱い家庭」になってしまいます。
妻も経済的に自立して、もう一本の「大黒柱」になれば、何が起こるか分からない、先行きが不安な世の中であっても、強固に切り抜けられる「強い家庭」を作れます。

配偶者控除を外れる額の収入を得て、所得税を払い、社会保険に加入し、厚生年金を支払うメリットについて、2025年現在の制度に基づいて解説します。

配偶者控除とは

配偶者控除とは、納税者に所得税法上の控除対象配偶者がいる場合に、一定の金額の所得控除が受けられる制度の事です。
配偶者控除を利用するためには、毎年12月31日の時点で、以下の5つの条件に適合する必要があります。

配偶者控除の金額
夫の合計所得金額控除額
妻が70歳未満妻が70歳以上
900万円以下38万円48万円
900万円超950万円以下26万円32万円
950万円超1,000万円以下13万円16万円

例えば、以下のようになります。

場合には、税金を計算する際に、夫の所得額から38万円引いてもらえます。

配偶者特別控除とは

配偶者特別控除とは、妻に給与収入で103万円(所得48万円)を超える収入があるため配偶者控除の適用外となっても、妻の所得金額に応じて、一定の金額の所得控除が受けられる制度です。

配偶者特別控除の金額
妻の合計所得金額夫の合計所得金額
900万円以下900万円超 950万円以下950万円超 1,000万円以下
48万円超 95万円以下38万円26万円13万円
95万円超 100万円以下36万円24万円12万円
100万円超 105万円以下31万円21万円11万円
105万円超 110万円以下26万円18万円9万円
110万円超 115万円以下21万円14万円7万円
115万円超 120万円以下16万円11万円6万円
120万円超 125万円以下11万円8万円4万円
125万円超 130万円以下6万円4万円2万円
130万円超 133万円以下3万円2万円1万円

Spelldataで働くと配偶者控除はどうなるか

Spelldataに入社して働くと、時給換算で1,700円からのスタートです。
(実際の給与は月給制です)
朝9時から夕方6時まで、休憩1時間で働くと、1日の労働時間は8時間です。
月の平均稼働日数は20日。

1か月の給与は、1,700円×8時間×20日=272,000円になります。
1年働くと、27万2,000円×12か月=326万4,000円となり、配偶者控除、配偶者特別控除の枠(201万円)を大きく超えます。
また、社会保険の加入要件(106万円の壁)も当然超えるため、ご自身で社会保険・厚生年金に加入する事になります。

年間手取り額の比較グラフ: 扶養内とSpelldata勤務の差
年間手取り額の比較: 扶養内 vs Spelldata勤務

配偶者控除から外れる5つの大きなメリット

「103万円の壁」や「130万円の壁」を気にして働く時間をセーブするよりも、Spelldataでフルタイムに近い形で働き、社会保険料や税金を支払う事には、目先の節税以上に大きなメリットがあります。

1. 世帯の手取り収入が圧倒的に増える

一般的に時給が低い場合、扶養を外れるとかえって手取りが減ってしまう、いわゆる「働き損」のゾーン(年収130〜150万円前後)がありますが、Spelldataの時給1,700円ならその心配は無用です。
この「魔のゾーン」を大きく飛び越え、確実に世帯年収をアップさせる事ができます。

配偶者控除(最大38万円)がなくなると、夫の税金は確かに少し増えます(年収によりますが、増税額は年間数万円〜10万円程度です)。
しかし、妻がSpelldataで年間326万円を稼げば、そこから妻の社会保険料や税金(約60万円程度)を引いても、手元には約260万円以上が残ります。

「夫の税金が数万円増えるのを防ぐために、妻が手取り200万円以上を増やすチャンスを捨てる」というのは、家計全体で見れば大きな損失です。
壁を大きく越えて働く事で、世帯全体の貯蓄スピードや生活水準は格段に上がります。

2. 将来もらえる年金が増える(厚生年金への加入)

扶養に入っている間(第3号被保険者)は「国民年金」のみですが、扶養を外れてSpelldataで社会保険に加入すると「厚生年金(第2号被保険者)」に上乗せで加入する事になります。
つまり、将来受け取る年金が「国民年金 + 厚生年金」の2階建てになります。
老後の資金不安が叫ばれる中、自分名義の年金を増やせる事は、長く生きる女性にとって最強の防衛策です。

3. 病気やケガで働けなくなった時の保障(傷病手当金)

扶養内(夫の健康保険の被扶養者)の場合、妻が病気やケガで長期間働けなくなっても、給与の補填はありません。
しかし、自分で会社の健康保険(社会保険)に入っていれば、「傷病手当金」が受給できます。
これは、病気やケガで働けない期間(最大1年6ヶ月)、給与の約3分の2が支給される制度です。
「もし私が病気になったら収入がゼロになる」という不安がなくなり、安心して働く事ができます。

4. 障害を負った時の保障が手厚くなる

万が一、事故や病気で障害が残ってしまった場合、扶養内(国民年金のみ)では「障害基礎年金」しか出ません(障害等級1級・2級のみ対象)。
厚生年金に加入していれば、「障害厚生年金」が上乗せされるだけでなく、より症状が軽い「3級」や「障害手当金(一時金)」もカバーされます。
人生の不測の事態に対する保険機能が、格段にアップグレードされるのです。

5. 「失業給付」が受けられる

雇用保険に加入するため、万が一退職する事になった場合や、会社都合で職を失った場合に、失業給付(基本手当)を受け取る事ができます。
次の仕事を探す期間の生活費が保障されるため、キャリアチェンジへの挑戦もしやすくなります。

変化に強い「自立した2本の柱」へ

配偶者控除の枠内にこだわる事は、今のわずかな節税と引き換えに、将来の年金、病気への備え、そして世帯収入の大幅アップを放棄している事と同じです。

夫に何かあっても妻が支えられる。
妻に何かあっても制度が守ってくれる。
Spelldataでしっかり稼ぎ、社会保険料を支払う事は、単なるコストではなく、あなたと家族の未来を守るための「最強の投資」なのです。

参考記事:働く主婦の「103万円の壁」 越えて得る4つのメリット(NIKKEI STYLE)