必要最低限しかやらない人は仕事で成功しない
著者:竹洞 陽一郎
本記事の対象者
本記事は、Spelldataへの応募を検討している方、あるいはキャリアの方向性を考えている方に向けて書いています。
採用選考の中で実際に見えてきた事実と、そこから見えてくる「仕事で成功する人の姿勢」について、正直にお伝えします。
耳に痛い話も含まれていますが、それが採用する側の本音です。
Spelldataでは、書類選考の段階で応募者に対して、弊社の採用サイトを読んでいただき、そこから設定しているキーワードを書き出していただく課題を設けています。
目的は単純です。
「指示された課題に対して、どこまで誠実に取り組むか」を見ることです。
知識や経験を問う課題ではありません。
姿勢を見る課題です。
その結果、毎回同じことが起きます。
この採用サイトには、それなりの数のキーワードが散らばっています。
それにも関わらず、10ぐらいしか書いて応募してくる人が実際に多いのです。
残念ながら、そういった方は高く評価していません。
理由を、この記事で詳しく説明します。
「最低限やった」は「やっていない」とほぼ同じ
要点: 必要最低限の取り組みは、選考においても仕事においても、「やっていない」に近い評価になります。
「キーワードを書き出してください」という指示に対して、多くの応募者は「ある程度書けたから大丈夫」と判断して提出します。
しかし、採用する側から見ると、ページを全部読んだ人と、ざっと流し読みしただけの人の差は、キーワードの数を見れば一目瞭然です。
要領よく拾い上げたキーワードだけの提出。
他のカテゴリのページのキーワードが抜け落ちている場合は、「このサイトを全部読んでいない」ということを如実に示しています。
言い換えれば、指示を最低限の解釈で処理したということです。
これは採用課題に限りません。
「このドメインのDNS設定を確認しておいてください」と言われたとき、whoisとAレコードだけ見て「確認しました」とする人がいます。
SPFレコードの構文、DMARCポリシーの有無、MXレコードとの整合性、TTL値の妥当性——そこまで見て初めて「確認した」と言える。
最低限の成果物で仕事が動くことは、現実にはほとんどありません。
報酬とは、他人にとって面倒なことを引き受ける対価である
要点: 仕事の報酬は、相手が面倒と感じることを専門家として引き受け、上手にやるから発生します。最初から必要最低限で済ませようとする人に、その対価を払う理由はありません。
そもそも、仕事の報酬とは何に対して支払われるものでしょうか。
答えは単純です。
誰かにとって面倒なことを、代わりに、しかも上手にやってくれるから、お金を払う価値が生まれます。
顧客が自分でできないこと、あるいは自分でやるよりずっとうまくやってもらえること——その専門性に対して報酬が発生します。
弊社が扱うDNS設計、SPF/DKIM/DMARC、CDN最適化、Webパフォーマンス計測は、どれも顧客が自社内で完結させることが難しい領域です。
だから弊社に依頼がくる。
その依頼に対して、「指示された範囲だけ、必要最低限だけやります」という姿勢で臨んだとしたら、顧客はどう感じるでしょうか。
顧客が面倒を任せたいと思っているのに、担当者がその面倒を最小化しようとしている。
これは、報酬を受け取る資格のある姿勢ではありません。
最低限しかやらない人を、顧客は信用しません。信用されない人に、継続的な仕事は来ません。
必要最低限で衰退した会社と業界は数えきれない
要点: 必要最低限で済ませようとする姿勢は、個人を止まらせるだけでなく、組織全体を衰退させます。顧客に見放された会社と業界の末路は、歴史が証明しています。
最低限思考が蔓延した組織に何が起きるかは、衰退した企業や業界の歴史を見れば明らかです。
かつて国内外を問わず、「業界標準」を盾に最低限のサービスを提供し続けた企業が、新興のプレイヤーに顧客を根こそぎ奪われた事例は無数にあります。
「これまでこうだったから」「他社も同じだから」「それ以上は契約外だから」。
こうした言葉が社内で飛び交うようになった組織は、すでに衰退の入口に立っています。
顧客は、最低限のサービスに慣れながらも、不満を積み上げています。
そこに「それ以上」をやる競合が現れた瞬間、乗り換えが起きます。
顧客が離れた後になって「なぜ離れたのか」を分析しても、手遅れです。
最低限だけで済ませていた期間の蓄積が、一気に噴き出したに過ぎない。それだけのことです。
これは会社の話であり、同時に個人の話でもあります。
最低限しかやらない人は、最低限の評価しか受けません。
最低限の評価が続けば、任される仕事の質も量も上がらず、スキルも市場価値も停滞します。
気づいたときには、「自分が必要最低限しかやってこなかったから、必要最低限の扱いしか受けていなかった」という事実だけが残ります。
仕事は「風呂敷を広げてから畳む」プロセスで成立する
要点: 仕事のプロセスは、まず可能性を最大限に広げ、そこから絞り込むという順序で行われます。最初から範囲を狭めて始める人は、その時点で仕事ができない人です。
仕事のできる人と、そうでない人の差を一言で表すとすれば、「風呂敷を広げられるかどうか」という点に尽きます。
何か課題に取り組む際、まず関係しうることをできる限り広く洗い出し、その上で優先順位をつけて絞り込んでいく。
この「広げてから畳む」というプロセスが、仕事の質を決定します。
最低限思考の人は、このプロセスの順序が逆です。
最初から「これだけやれば十分だろう」という結論を持ち込み、そこに向かって最短距離を歩きます。
言い換えれば、最初から風呂敷を小さく折りたたんで持ち歩いているのです。
広げることをしないから、畳む判断も発生しない。視野の外にある重要なことを、最初から拾えていません。
たとえば、あるWebサイトの表示が遅いというクライアントの課題に対して。
「広げる」人は、DNS解決、TCP接続、TLSハンドシェイク、TTFB、レンダリング、画像サイズ、サードパーティスクリプト、CDN設定、キャッシュポリシーなど、関係しうる要素をすべて洗い出してから、実測データをもとに原因を絞り込みます。
「最低限」の人は、「画像が重いんじゃないですか」と最初の思いつきで判断を止め、そこだけを確認して終わりにします。
採用課題のキーワード書き出しも、まったく同じ構造です。
「とりあえずいくつか書ければいい」と判断した時点で、風呂敷はすでに小さく折られています。
ページ全体を読み込み、書かれていることをいったん全部拾ってから、重要なものを整理して提出する。
その順序で取り組んだ人の提出物と、最低限で済ませた人の提出物は、見た瞬間に区別がつきます。
「広げすぎると非効率ではないか」という反論があります。
しかし、広げることと非効率は別の話です。
広げた上で、不要なものを素早く捨てる判断ができる人が、仕事のできる人です。
最初から狭く始める人は、捨てる判断すらしていません。何も考えずに範囲を絞っているだけです。
なぜ必要最低限で止まってしまうのか
要点: 「最低限」で止まる原因は、怠慢よりも、目的への意識の薄さにあります。その錯覚は、一年後、三年後の仕事の質に取り返しのつかない差を生みます。
必要最低限しかやらない人を、怠け者と断じるのは正確ではありません。
多くの場合、その人は「これで十分だ」と本気で思っています。
問題は、何のためにその作業をしているのかという目的意識が薄いことにあります。
たとえば、上司から「この件、顧客に報告しておいてください」と言われたとします。
目的意識のない人は、「報告した」という事実を作ることだけを考え、定型文を送って終わりにします。
目的意識のある人は、「顧客が何を不安に思っているか」「どう伝えれば次のアクションにつながるか」を考えてから動きます。
同じ指示を受けて、まったく異なる成果物が生まれます。
目的と手段を混同したまま行動する人は、手段を最低限消化すれば目的が達成されたと錯覚します。
この錯覚を持ったまま仕事に臨む人と、そうでない人では、一年後、三年後の仕事の質に取り返しのつかない差が生まれます。
「指示の文字通り」にしか動かない人が生む問題
要点: 目的意識の薄さは、日々の仕事で具体的な問題として現れます。指示の範囲を文字通りにしか解釈しない人は、仕事の現場で周囲の負担を増やし続けます。
こうした目的意識の薄さは、日々の仕事で具体的な問題として現れます。
仕事の指示というものは、本来、目的を達成するための手段として与えられるものです。
しかし、「指示の文字通りにしかやらない人」は、指示の目的ではなく、指示の文面だけを見て動きます。
たとえば、「このクライアントのDMARCをp=quarantineに上げておいてください」という指示に対して。
伸びる人は、現在のDMARCレポートを確認し、サブドメインの設定漏れがないかを確認し、移行後に発生しうるメール配送への影響を整理した上で実行します。
指示の文字通りにしか動かない人は、ポリシーの値を書き換えて「対応しました」で終わりにします。
この差は、一件一件は小さいように見えます。
しかし、積み重なると、「この人に頼むと、必ず後から問題が出る」という状況になります。
結果として、仕事を頼む側は細かく指示を出し続けなければならなくなり、業務の質は下がり、信頼は積み上がりません。
Spelldataが採用選考で見ていること
要点: 弊社の採用課題は、スキルではなく取り組みへの誠実さを測るために設計されています。弊社が採用したいのは、すでにこの姿勢を持っている人です。入社後に直すことを期待した採用はしません。
Spelldataは、DNS・SPF/DKIM/DMARC・CDN・ネットワーク計測といった専門性の高い領域を扱う会社です。
業務は複雑で、単一の正解がない問題を日々扱います。
こうした環境では、指示の範囲内でしか動けない人材は、力を発揮できません。
弊社のキーワード書き出し課題は、難しくありません。
採用サイトのページを全て、丁寧に読み込む。
ちゃんとキーワードを拾い上げれば、それで十分に合格水準に達します。
それができない人は、技術力の問題ではなく、物事への向き合い方の問題を抱えています。
選考の段階でこれが現れるということは、入社後の業務でも同じことが起きる、ということです。
弊社は、入社後に姿勢を直してもらうことを期待した採用はしません。
少数精鋭で事業を展開している弊社では、一人が最低限思考で動けば、その影響は顧客対応に直接現れ、チーム全体の評判を傷つけます。
一人あたりの影響が、大企業とは比較にならないほど大きい。
だからこそ、選考の段階で見極めます。
弊社が採用したいのは、次のような人です。
- 指示された作業の「目的」を自分で考えられる人
- 言われた範囲の外側まで視野を広げて取り組める人
- 成果物を出す前に「これで十分か」を自分で問い直せる人
- わからないことを自分で調べ、一歩でも前に進める人
- 採用ページも含め、関係する情報を端から端まで読み込める人
これらはすべて、選考の段階で確認できることです。
そして実際に、キーワード書き出し課題の取り組み方に、これらがそのまま現れます。
「言われた範囲より一歩先を見る」という習慣は、選考課題にも仕事にも、同じように現れます。
まとめ
必要最低限しかやらない人が仕事で成功しないのは、能力が低いからではありません。
物事への向き合い方の問題、そして習慣の問題です。
仕事の報酬は、相手にとって面倒なことを専門家として引き受け、相手より上手にやるから発生します。
その立場にいながら、自分の手間を最小化しようとすることは、報酬を受け取る資格のある姿勢ではありません。
顧客はそれを必ず感じ取り、信頼を失い、やがて離れていきます。
仕事は「風呂敷をできる限り広げ、そこから畳み込む」プロセスで成立します。
最初から範囲を狭めて始める人は、広げることも、畳む判断もしていません。
何も考えずに狭い範囲を処理して終わっているだけです。
こうした姿勢が組織に蔓延したとき、会社は衰退します。
顧客に見放されてから原因を探しても、手遅れです。
採用選考は、本人の仕事への向き合い方が最も素直に現れる場です。
弊社のキーワード書き出し課題に対して、ページを全て読み込んで丁寧に取り組んでくれた応募者は、実際に入社後も同じように動きます。
逆もまた、例外なく真実です。
Spelldataへの応募を検討されている方は、ぜひ採用サイトを端から端まで読んでから、応募フォームに進んでください。
その姿勢が、すでに選考の始まりです。