住む場所で、仕事を諦めない
著者:竹洞 陽一郎
本記事の対象者
本記事は、地方に住みながらキャリアを考えている方に向けて書いています。
地元を離れたくない、しかし仕事の選択肢が限られる。
その状況に心当たりがある方に、Spelldataがなぜ給与を全国一律にしているのか、その理由をお伝えします。
地方に住む人が、ずっと迫られてきた二択
要点: 専門性を発揮できる仕事を取るか、住み慣れた場所を取るか。地方に住む人は、職種を問わず、長い間この二択を迫られてきました。
地元で暮らし続けたい。
家族がいる、家がある、慣れた土地がある。
それでも、専門性を発揮できる仕事に就きたいと思ったとき、選択肢は東京にしかない。
この状況を、多くの方が経験してきたはずです。
上京すれば仕事はある。
しかし家賃は高く、部屋は狭く、通勤に時間を取られます。
地元に残れば生活は落ち着く。
しかし仕事の選択肢は限られ、給与水準も下がります。
どちらを選んでも、何かを諦めることになる。
それが、これまでの前提でした。
なぜ、その二択が生まれていたのか
要点: 地方在住の不利は、仕事の選択肢の少なさと、給与水準の地域差という2つの構造から生まれています。
この二択は、感情の問題ではなく構造の問題です。
原因は2つに整理できます。
- 仕事の選択肢の少なさ
- 専門性の高い職種の求人は、顧客企業の本社が集中する首都圏に偏っています。技術職に限らず、顧客と向き合う職種も、組織を支える職種も同じです。出社を前提とする限り、住む場所が仕事の範囲を決めます。
- 給与水準の地域差
- 同じ職種、同じ能力であっても、勤務地によって給与テーブルが分かれている会社が多く存在します。地方勤務というだけで、収入の上限が下がります。
この2つは、どちらも「会社が出社を前提にしている」ことから派生しています。
出社が前提だから、求人は本社の周辺に集まる。
勤務地が物理的に存在するから、地域別の給与テーブルが成立する。
前提が変われば、不利も消えます。
Spelldataでは、その二択が発生しない
要点: 弊社は全員リモート勤務で、給与体系は全国一律です。地方在住であることによる不利は、構造的に発生しません。
Spelldataは、全メンバーがリモートで働いています。
オフィスに集まって仕事をするという形態を取っていません。
そして給与体系は、全国一律です。
北海道に住んでいても、沖縄に住んでいても、東京に住んでいても、同じ職務なら同じ給与テーブルが適用されます。
この2つを組み合わせると、地方在住は不利ではなくなります。
それどころか、有利になります。
給与が同じであれば、住居費が低い地域に住む方が、可処分所得は大きくなるからです。
同じ収入で、より広い家に住み、より落ち着いた環境で暮らせます。
弊社が扱っているのは、DNS設計、SPF/DKIM/DMARCによるメール認証、CDN最適化、Webパフォーマンス計測、ゼロトラストネットワークといった領域です。
顧客は、日本を代表する規模の企業が中心です。
弊社には、技術を扱う職種だけでなく、顧客との折衝や提案を担う職種、社内の運営と体制を支える職種があります。
いずれの仕事も、住んでいる場所とは何の関係もありません。
必要なのは、ネットワーク回線と、考える力です。
なぜ給与を全国一律にしているのか
要点: 全国一律給与は、待遇の話ではなく経営判断です。弊社の事業は、社員に長く働いてもらうことで成立するからです。
全国一律にしているのは、気前がよいからではありません。
経営として、その方が合理的だからです。
理由を説明します。
弊社の事業は、社員が長く働き続けることを前提に設計されています。
そのためには、社員が心地よく暮らせる場所に住んでいる必要があります。
住みたい場所に住めば、生活は安定します。
生活が安定すれば、無理なく働き続けられます。
ここで給与を地域別にしてしまうと、この設計が壊れます。
「地方に住むと収入が下がる」という仕組みを会社が作れば、社員は収入のために住む場所を変えるか、収入を諦めるかを迫られます。
それは、弊社が消したいと考えている二択を、自ら再生産することになります。
だから、全国一律にしています。
弊社の仕事は、在籍期間がそのまま実力になる
要点: 弊社の業務は、顧客ごとの構成と履歴を知っていることが判断の質を決めます。職種を問わず、在籍期間が長いほど個人の価値が上がる仕事です。
なぜ、長く働いてもらうことにこだわるのか。
弊社の仕事の性質によります。
たとえば、次のような業務があります。
- DMARCレポートの解析
- その企業がどのメール送信サービスをいつから使い、どの部署が独自に何を導入したかを知らなければ、レポートに現れる送信元の正体を判別できません。過去の経緯を知っている人ほど、判断が速く、正確になります。
- Tailscaleのアクセス制御設計
- 組織構造と業務フローを理解していなければ、適切なタグ設計はできません。店舗、拠点、委託先、それぞれの権限をどう分けるかは、その企業の実態を知っている人にしか設計できません。
- Webパフォーマンスの原因特定
- 計測データは、過去との比較ではじめて意味を持ちます。何年分の計測履歴を頭に入れているかが、原因の絞り込みの速度を決めます。
- 顧客への提案と折衝
- その企業がどういう意思決定の流れを持ち、過去に何を検討して見送ったかを知らなければ、提案は的を外します。関係を築いてきた時間が、そのまま提案の精度になります。
- 案件と社内リソースの管理
- どの案件にどれだけの工数がかかるかは、過去の実績の蓄積からしか見積もれません。誰が何を得意とし、今どれだけの余力があるかの把握も、在籍期間が長いほど正確になります。
これらは、教科書を読んで身につく知識ではありません。
その顧客と向き合ってきた時間そのものが、実力になります。
つまり、弊社で長く働くことは、会社にとって都合がよいだけではありません。
本人の市場価値が、在籍期間とともに上がっていく構造になっています。
転職を否定するつもりはありません。
合わないと感じたなら、環境を変える方がよい場合もあります。
ただ、転職には時間と労力がかかり、新しい環境で信頼を築き直す期間も必要です。
そのコストを払わずに、収入とやりがいを上げていけるなら、その方が合理的です。
弊社が目指しているのは、辞めにくい会社ではなく、辞める理由がない会社です。
何歳まで働けるかではなく、何歳まで健康に働けるか
要点: 長寿化が進む中で、就労期間は確実に伸びます。そのとき問われるのは、健康に働き続けられるかどうかです。生活の質は、住む場所に大きく左右されます。
これから、長寿化はさらに進みます。
高年齢者雇用安定法は70歳までの就業機会確保を努力義務とし、公的年金の繰下げ受給は75歳まで可能になりました。
制度の側が、すでにそこまでの就労を想定し始めています。
今20代、30代の方が引退する頃には、就労期間はさらに伸びているはずです。
そのとき問われるのは、何歳まで働けるかではありません。
何歳まで健康に働けるかです。
そして健康に暮らせるかどうかは、生活の質に大きく左右されます。
家が十分に広く、仕事をする空間と休息する空間を分けられるか。
外に出れば自然があり、日常の中で体を動かす気になれるか。
毎日の通勤で消耗しないか。
これらは、東京より地方の方が実現しやすい条件です。
弊社が地方在住の方に来てほしいと考えているのは、この理由によります。
生活の質が高い場所に住んでいる人ほど、健康に、長く働き続けられます。
それは本人にとっての利益であり、同時に会社にとっての利益でもあります。
休んで、戻ってこられること
要点: 長く働き続けるためには、一時的に働き方を変える時期を乗り越えられる必要があります。休むことが退職に直結しない設計を、制度と運用の両面で進めています。
長く働き続けるという話をするなら、避けて通れないことがあります。
出産、育児、療養など、働き方を一時的に変える必要が生じる時期は、誰にでも訪れます。
そこで会社を離れることになれば、長期雇用は成立しません。
弊社は全員リモートなので、通勤という制約がありません。
このこと自体が、育児や介護と仕事を両立させる上で大きく働きます。
その上で、休んだ後に戻ってこられる設計を、制度と運用の両面で進めています。
実際に、現在も産休・休業を取得しているメンバーがいます。
住む場所を選べることと、休んで戻ってこられること。
この2つは、長く働き続けるための条件として、同じ重さを持っています。
まとめ
地方に住むことの不利は、仕事の選択肢の少なさと、給与水準の地域差から生まれていました。
弊社は全員リモートで、給与体系は全国一律です。
つまり弊社では、この2つの不利が発生しません。
地方に住むことの利点だけを取り、不利を消せる構造になっています。
これは待遇として用意した仕組みではなく、経営判断です。
弊社の仕事は、顧客と向き合ってきた時間そのものが実力になります。
だから、社員に長く働いてもらう必要があります。
そのためには、社員が心地よく暮らせる場所に住み、健康に働き続けられることが前提になります。
採用において、居住地の制約は設けていません。
日本のどこに住んでいても、最先端の仕事に就けます。
その上で、地方在住の方には特に来てほしいと考えています。
引っ越さなくてよい、地元で暮らし続けながら、収入を上げ、やりがいのある仕事に就く。
それが実現できる会社を作っています。