質問する前に、自分で調べよう
著者: 竹洞 陽一郎
本記事の対象者
本記事は、単なる「職場の作法」ではありません。
Spelldataが大切にしている「自走できるプロフェッショナル」の考え方に共感し、
自分の判断で成果を出したい方のためのガイドラインです。
未経験だからと、わからないことがあるとすぐに周りの人へ質問してしまう。
そんな癖はありませんか?
過去にも、わからないことがあると、すぐに社長の私に質問して答えを得ようとする人がいました。
調べない・考えない・丸投げの問いかけは、たとえ未経験者であっても歓迎されません。
本記事では、歓迎される「質問の型」を、悪い例・良い例・チェックリスト・FAQで解説します。
もしあなたが「厳しそう」と感じたなら、それは正しい反応です。
Spelldataは、"教えてもらう"ことよりも、"考えて進める"ことを重視します。
一方で、「面白そう」と感じた方にとっては、非常に伸びる環境になります。
本記事で使用する用語の定義
要点: Spelldataでは「質問」を、答えをもらう行為ではなく、意思決定の精度を上げる行為として扱います。
- ヘルプデスク質問
- 調べていない/考えていない/次の作業を丸投げする質問。答えをもらうことが目的。
- 壁打ち質問
- 目的・仮説・試したこと・選択肢・詰まっている点が整理されている質問。意思決定の精度を上げることが目的。
- 自走
- 指示待ちではなく、自分の判断で前に進めること。必要なときに適切な壁打ちができることも含む。
- 丸投げ
- 「どうすればいいですか?」だけ投げ、調査・思考・判断を相手に委ねること。
- 再現性
- たまたまではなく、同じ条件なら同じ成果を出せること。仕事の強さは再現性で決まる。
なぜ経営者や上司、先輩に丸投げ質問をしてはいけないのか
要点: 上位者に質問を丸投げして、すぐに答えを得ようとし続けると、個人の判断力が育たず、結果としてあなたの成長が止まります。
上位者に丸投げ質問して、すぐに回答を得れば、一見、業務は速く進みます。
しかしそれが習慣化すると、組織には次の傾向が根付きます。
- 聞けば正解が出る
- 調べるより聞いた方が早い
- 判断しなくていい
これが完成すると、組織は「回る」のに「育たない」状態になります。
Spelldataは、業務時間中に毎日3時間、年間で約700時間の学習時間を確保しています。
これは、各従業員の成長を促すための投資です。
しかし、未経験者であることを理由に、すぐに上位者へ思考を委ねてしまうのであれば、「探索する」というスキルは育ちません。
能力は、使わなければ伸びません。
自分でできる範囲で情報を集め、わからない壁にぶつかったら、周囲の人に相談してみる。
最初のうちは、わからない壁にすぐにぶつかるかもしれませんが、それでも、自分で探索する習慣を身につけなければ、真の意味での成長はありません。
知識を身に付ければ「分かる」わけではない
要点: 知識を得ても、「学ぶ→疑問→調べる→深い理解」のサイクルを回さなければ、自分の発想で問題解決はできません。
「何も知識がないのに、調べてから質問しろと言われても、できません。まずは基本を教えてください。」と言ってくる人もいます。
その指摘はもっともです。
ですからSpelldataでは、先述の毎日3時間の学習時間を、基礎の習得にも充てられるようにしています。
コンピュータやネットワークの基礎から学べる環境は、会社が用意します。
ただし、同じ環境を与えても、伸びる人と伸びない人に分かれます。
分かれ目は、与えられた教材をこなして終わりにするか、そこから自分で疑問を掘り下げるかです。
「学ぶ→疑問が出る→調べてみる→更に疑問が出る→調べてみる→深い理解を得る」というサイクルを回しているかどうか、と言い換えてもいいでしょう。
このサイクルが習慣になっていない場合、仕事も「とりあえず片づける」ことが最優先になりがちです。
その仕事を通して学ぶ、という視点が抜け落ちてしまいます。
例えば、プログラミングでも同じようなことが発生します。
プログラミングの言語を学び、文法を暗記してしまえば、プログラムを書けると思っている人たちが一定数います。
しかし、そういう人に限って、自分の発想でプログラムを書いたり、システムを作ったりというのができなかったりします。
プログラミングというのは、「問題解決」のために行うものです。
何かの問題があり、それを解決したい、それも繰り返し行われるものであれば、繰り返し使えるプログラムを組むことで、より効率的に解決できます。
一方で、プログラミングは、繰り返し行う問題解決だけのものではありません。
1回だけの問題解決のために組んでもいいのです。
「ワンショットプログラム」と言われます。
何か疑問が生じた時、分からないことが出てきた時に、自分で探索して解決する、考えて解決するという「癖」が身についていない人は、問題解決を自分ではできません。
そういう人は、定常的に使うプログラムにしろ、ワンショットプログラムにしろ、自分では書けないということになります。
結果として、誰かが作ってくれた解決策(よくある生活ハックだったり、あなたが検索して見つけてCopy&Pasteして使っているHTMLやJavaScript、CSSのコード)に頼って生きていくということになります。
それで、その場の問題は解決するのかもしれませんが、残念ながら、あなた自身は成長はしません。
ゲームのキャラクタのように、「考えて、調べて」経験値を獲得しよう
要点: 探索する・考えるという行為そのものが経験値です。脳も筋肉と同様、継続的な負荷で鍛える必要があります。
あなたは、ゲームを遊びますか?
ゲームでは、経験値やレベルアップという概念があります。
同じようなことを繰り返して行ったり、新しいことをやってみたりして、経験値を稼いで、ある一定の値まで達成するとレベルアップして、能力値が上昇します。
私たちも同じです。
自分の経験値を獲得するために、積極的に、自分で探索したり、自分で考えてみましょう。
レベルが低い内は、探索することも、考えることも苦労することが多いでしょう。
しかし、自分の脳を使うとは、そういうことです。
新しいことを本で学ぼうとすると、3~4ページ程度読んだ時点で、脳が疲れ切ってしまって眠くなるという経験をしたことはありませんか?
それと全く同じなのです。
筋肉を鍛えるために、日々の継続的な運動を徐々に負荷を上げて行う必要があるのと同様に、脳を鍛えるために、日々の継続的な思考を徐々に負荷を上げて行う必要があります。
それは一朝一夕では成しえません。
毎日、地道に行う必要があります。
では、それをいつ始めますか?
今からです!
魚を一匹もらえば、その日の空腹は満たせます。
しかし翌日にはまた空腹になり、また誰かに頼ることになります。
釣り方を身につければ、明日も、来年も、自分で食べていけます。
ここで、あなたに質問です。
あなたは、先達に魚を与えてもらいたいのでしょうか?
それとも、自分で魚を釣れるようになりたいのでしょうか?
答えややり方を教えてもらうたびに、経験値を獲得できる機会が1回ずつ失われます。
それを繰り返せば、1年後も同じレベルのままです。
逆に、小さくても自分で探索して解決した経験は、確実に積み上がります。
Spelldataで歓迎される「質問の型」
要点: 問いかけは歓迎。ただし自分の考えを添えて。最低限、目的・事実・仮説をセットにします。
質問テンプレ
【必須】この3つが揃っていれば相談できます
1. 目的: 何を達成したいか
2. 事実: 現在わかっていること(ログ、数値、前提)
3. 仮説: 自分はこう考えている
【推奨】揃っていると、壁打ちの精度が上がります
4. 試したこと: 調査・検証・比較(URLやコマンドでも可)
5. 選択肢: A/B/C(できればメリット・デメリットも)
6. 詰まっている点: 判断材料が足りない箇所(ここだけ助けてほしい)
この形で相談できる人は、経験年数に関係なく伸びます。
なぜなら、問いかけが「作業の依頼」ではなく「意思決定の相談」になるからです。
悪い質問のサンプル(Spelldataでは評価が下がりやすい)
要点: ①思考の委託 ②前提不明 ③試していない ④緊急でも情報がない、の4パターンは避けてください。
| 観点 | 悪い質問 | 良い質問 |
|---|---|---|
| 目的 | 不明(とりあえず聞く) | 達成したい状態が明確 |
| 仮説 | なし | 自分の考えがある |
| 試行 | 試していない | 調査・検証済み |
| 依頼 | 作業の丸投げ | 判断ポイントの壁打ち |
悪い例1:丸投げ
- 質問
- 「これ、どうやればいいですか?」
- 問題
- 目的・前提・仮説がなく、相手に思考を委ねている
悪い例2:情報がない
- 質問
- 「サーバーが遅いです。原因わかりますか?」
- 問題
- いつから/どの範囲/数値/ログがなく、調査の起点がない
悪い例3:選択肢がない
- 質問
- 「この設定、どっちが正しいですか?」
- 問題
- 比較観点(要件、影響範囲、リスク)が整理されていない
良い質問のサンプル(Spelldataで歓迎される)
要点: ①目的が明確 ②仮説がある ③試したことがある ④判断してほしいポイントが明確、の4点が揃っています。
良い例1:障害対応(短くてもOK)
- 目的
- 「本日中にサイト応答を通常に戻す」
- 事実
- 「12:10からp95が800ms→3,200ms。DB CPUは70%→95%。Slow logに特定クエリが集中」
- 仮説
- 「直近リリースの検索条件追加でインデックスが効いていない」
- 試したこと
- 「該当クエリのEXPLAIN確認、該当機能のトラフィック比率確認」
- 選択肢
-
A. 機能フラグで検索条件を戻す(即時/影響小)
B. インデックス追加(有効そうだが検証に時間)
C. 一時的にキャッシュ強化(根治ではない) - 詰まっている点
- 「Aで戻す判断は妥当か? もしくはBを先にやるべきか?」
良い例2:日常業務(丁寧に)
- 目的
- 「お客様のDMARC運用で、レポート負荷を下げつつ可視性を維持する」
- 仮説
- 「集計単位と受信条件を整理すれば、必要十分なレポートにできる」
- 試したこと
- 「現状の受信件数推移、送信元の分布、ピーク時間帯、受信側の制限条件を整理」
- 選択肢
-
A. 受信頻度を落として保持期間を延ばす
B. 対象をサブドメイン単位で分割し、負荷分散
C. 重要送信元のみ詳細、その他は集約 - 詰まっている点
- 「お客様の意思決定材料として、どの比較表が最も伝わるか壁打ちしたい」
評価者視点のチェックリスト
要点: 1〜3は必須です。4〜6は揃っているほど、壁打ちの精度が上がります。
- 目的(達成したい状態)が1文で言える
- 事実(ログ・数値・前提)がある
- 自分の仮説がある(ゼロから聞いていない)
- 試したことがある(調べた・検証した)
- 選択肢がある(A/B/C)
- 「どこを判断してほしいか」が明確
- クイックチェック
- 目的/事実/仮説 → ここまでで相談可。試したこと/選択肢/詰まりポイント → 揃えば合格水準
応募者にとっての価値(この文化で働くと何が得られるか)
要点: 「自走」と「壁打ち」を前提にすると、学びが速く、仕事の再現性が上がり、どこでも通用する判断力が身につきます。
- 判断力が武器になる
- 答えをもらうのではなく、仮説と検証で前に進むため、どの環境でも通用する判断力が育ちます。
- 仕事の再現性が上がる
- 「なぜそう判断したか」を言語化する文化により、属人化しにくく、チーム全体のレベルが上がります。
- 学びの速度が上がる
- 問いかけが「丸投げ」ではなく「壁打ち」になることで、フィードバックが最短距離で効きます。
よくある質問(FAQ)
要点: 応募者からよく寄せられる疑問と回答をまとめました。
- Q1. Spelldataは質問しづらい会社ですか?
- A. いいえ。問いかけは歓迎です。ただし「自分の考え無しの丸投げ」は歓迎しません。仮説と選択肢を持って相談する「壁打ち」を推奨します。
- Q2. 仕事が速い人は質問しない人ですか?
- A. いいえ。速い人ほど、早い段階で壁打ちして意思決定の精度を上げます。問いかけの回数より、その質が重要です。
- Q3. 未経験でも大丈夫ですか?
- A. 可能です。経験年数よりも、仮説を立て、調べ、判断する姿勢を重視します。小さなことでも自分の考えを添えて相談できる方は伸びます。
- Q4. 緊急時はテンプレ通りに書けません
- A. 緊急時は短くて構いません。最低限「事実(何が起きているか)/仮説/次に試す手順」をまとめて共有してください。落ち着いた後に振り返りで再現性を高めます。
- Q5. 「あなたはどう考えた?」と言われたら、どう返すべきですか?
- A. 自分の仮説と、試したこと、判断に迷っているポイントを返してください。正解を当てることより、意思決定の材料を揃えることが大切です。
まとめ
要点: 思考の委託ではなく、仮説と選択肢を揃えた「壁打ち」で意思決定の精度を上げる文化です。
Spelldataは、「自走」と「壁打ち」で判断力を伸ばす組織です。
- 歓迎される質問
- 目的/事実/仮説が揃っている。さらに試したこと/選択肢/詰まりポイントがあれば理想的
- 歓迎されない質問
- 調べない・考えない・丸投げ(=ヘルプデスク化)
この文化に共感し、「自分の判断で成果を出したい」と思う方の応募をお待ちしています。
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適用時点: 本記事の内容は2026年2月21日時点のSpelldata採用プロセスに適用されます。採用基準や運用は予告なく変更される場合があります。